Brand Story

あなたにとって特別な思い入れのあるペンはありますか?
そのペンが万が一傷ついたら悲しい気持ちになりますか?
だからといって使わずに大事にしまっておくのは筆記具としてどうでしょうか。
特に万年筆は長時間使用しないとインクが内部で乾いて修理しなければならなくなってしまいます。

私が初めて万年筆を貰った時、その光沢と滑らかな質感に感動し、キャップを外すときの所作に喜び、そのペンの在り方そのものが私の気持ちを高めてくれる。
そんな最高の筆記具だと感じました。
これからのあらゆる文字をこのペンで書こうと意気込んだものです。
私のデスクにはペン立てがあり使用頻度の高い文具はそこにありました。
よってこれから積極的に使う万年筆はそのペン立てにあるのがベストです。
しかし、私は傷が怖くてそこに置くことができませんでした。
私は蓋がきっちり閉まる1本差しの本革ペンケースを購入し大事に引き出しにしまいました。
しかし、つい万年筆の存在を忘れペン立てのペンで書いてしまう時がしばしばありました。
もっと使う機会を増やしたいと思い引き出しからペンケースに入ったまま万年筆をペン立てに立ててみましたが、どうも改善しません。
ペン立てに立てるようなペンケースではないという点もありますが、万年筆自体が少しも見えないというのが大きく影響している気がしました。

幸いにも私はレザークラフトの心得がありました。
傷からは守りつつ、少しだけ万年筆の顔が見える、シンプルで気軽に使える1本差しのペンケース。
さっそく型紙を作り、手近にあったクロム鞣し革の端切れで試作してみました。
シンプルすぎるかもと思っていましたが、そんなことはありません。
気軽にサッと取り出して、すぐにしまえる。ものを書く気分を少しも邪魔しないその在り方に機能美を感じました。
ペン立てに入れてもほかのペンからは守られ、シンプルなデザインゆえに悪目立ちしません。
そしてペンケースの隙間から見える万年筆の顔は「私を使え」という声が聞こえてきそうでした。

そのペンケースを使用してしばらく経ったころ私は外出する際に万年筆を持っていくことにしました。バッグインバッグのようにペンケースインペンケースという形で。
シンプルゆえにスペースををとらないのでこのような使い方もできるのです。
職場では万年筆好きのコミュニティがあるのですが万年筆よりもそのペンケースが注目されました。

「私もそのペンケースが欲しい」

それがこのペンケースブランドの始まりでした。

さて、せっかくなのでこの機会にこのペンケースブランドに名前を付けたいと思います。
革と糸だけで作ったペンを傷つけたくないその気持ちと、少しだけ顔が見えるペンケースの形が両方とも赤子を守る「ゆりかご」のように思えるので「cradle(クレイドル)」としたいと思います。

今後とも私「ぷに助」とペンケース「cradle(クレイドル)」シリーズを宜しくお願い致します。